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「技術的には可能」な社長案件をボツにした

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タイトルの通り、「技術的には可能」な社長案件をボツにしました。

弊社グループの某社社長肝いりの案件だそうですが、私には関係ありません。自分が担当している構成の安定稼働のために、他部署に「馬鹿なこと言ってんじゃねぇ(意訳」と言っただけです。

私としては、ボツにするつもりはなくて、実現するために現実的に考えてほしいことを伝えたつもりなんですが、他部署の担当が「じゃあいいです(意訳」と引き下がってしまった話です。

ちょまどさん(@chomado)の「技術的には可能」に関するツイートを見て、ちょっと書き残しておこうと思いました。

全社員PCに強制表示する「天気予報」がインターネット回線を詰まらせる話(未遂)

社内ポータルサイトのトップ画面に、外部サイトのコンテンツを埋め込み表示する際に、インターネット経由でデータを表示したいと言われました。内容はボカシたいので、「社内ポータルに天気予報を表示したい案件」ってことにしておきます。

弊社グループのPCは、PC起動時に社内のポータルサイトを強制表示する仕様になっています。つまり、朝9時頃に社員がPCを起動すると、必ず外部に天気予報データを取得しに行くことになり、通信量を試算するとインターネット回線が詰まってしまう恐れがありました。

簡単に言うと、社内ポータルに天気予報を表示するだけで、全社員のPCがメールもWebも使えなくなる(極端に遅くなる)恐れがあったんですね。そんなことになったら怒られるのは私です。私は何も悪くないのに。

とはいえ、あれこれネットワークやサーバーの設定をいじれば何とかなるレベルではあるので、「技術的には可能」でした。いきなりやられてしまうと影響度合いが大きいので、まずはお断りするしかありません。

ベンダーの作業費用と、懸念事項を伝えて、引き下がってもらいました。

結果的に社内のポータルサイト専用のサーバーにデータを置いておき、各PCはそのサーバーのデータを参照することになりました。各PCが直接インターネット通信をすることなく、社内のポータルサイト天気予報を表示できるようになったわけですね。良かったですね。めでたしめでたし。

・・・半年ぐらい経って、再燃しました。

思い返してみれば、最初から「社長案件だぞ!」と強く言われていて、少し不穏な空気でしたね。

全社員が任意表示する「全国の天気」がインターネット回線を詰まらせる話(未遂)

社内ポータルに表示した外部サイトのコンテンツは、表示して終わりではなくて、クリックした先に詳細なデータを表示するページがありました。

天気予報を例に説明すると、ポータルサイトのトップ画面には「今日の天気(東京)」が表示されています。その「今日の天気(東京)」をクリックすると「全国の天気」ページに飛ぶイメージです。

「全国の天気を表示するのは、自動処理ができない仕様だから、毎朝担当者がスクリーンショットを撮って、画像をページに埋め混む運用をしている」って言うんですね。で、「その運用が大変だから、やっぱりインターネットに自動でデータを取りに行きたい」と。

「え、半年も手動でやってきたの?」とドン引きしつつ、お話を伺いました。まとめるとこんな感じ。

  • 手動は運用コストがかかりすぎる
  • コンテンツのデータ量は◯MByteぐらい
  • ピーク時のアクセスを推定したので、これなら実現できないか
  • 社員のWebやメール利用に影響するのか?
  • コストはかかるのか?
  • 社長案件だぞ

ピーク時のアクセスというのが驚きで、全社員が利用することになっているんですね。ありえない数字です。衝撃のクリック率です。そんなことができるなら、Webマーケティングのプロになったほうがいい。

だから私は聞きました。

「半年間、社内ポータルに表示された天気情報をクリックして、全国の天気を見てた人はどれぐらいですか?さすがに社員が全員、全国の天気予報を見るなんてありえないですよね。実態に即した数字を出してくれませんか?」と。

お返事がきました。

「直近1ヶ月は、朝のピークで最大20アクセスだ。しかし、偉い人からは数万人全員がアクセスをする想定で立案してほしいと言われている。全員がアクセスをする可能性があるのだから、その想定で全社的に影響があるのかないのか気にされている。いいからコストを出せ」

天気予報の表示に初期費用に数百万、年間で数千万円

やれっていうのでコスト試算しましたよ。全社員が、毎朝、「今日の天気(東京)」をクリックして、「全国の天気」表示するコスト試算です。

初期費用に数百万、年間で数千万円でした。バカバカしいですね。

「年間数千万円なんて、どこから出てきた数字だ。根拠を示せ。上に説明できない」とお怒りだったので、コンテンツのデータ量と全社員の端末台数から、合計の通信データ量を算出して、通信キャリアとの契約まで事細かに説明してあげました。

通信量はタダじゃないんですよ。スマホだって、ギガが足りないギガが足りないなんて言うじゃないですか。コストの計算方法は違うんですけど、使ったらお金がかかるんですよね。

私は優しい()ので最後に付け加えました。

「現在のアクセスピーク20人なら、誤差の範囲なので全然問題ありません。できるだけ精緻に利用者を見積もっていただければ、通信やコストの影響度合いを確認しますよ。」

数日後にお返事が来ましてね、「コストが高すぎるので、ボツになった」そうです。

技術的には可能な社長案件がボツになった

結果的に私が出した試算が、社長案件をボツにしました。

グループ会社の社長肝いり案件だから、弊社役員から天気予報担当者までみんな考えることやめちゃったんですね。

天気予報なんて社内のポータルサイトに表示する必要はないし、本当に興味がある人はスマホで見るじゃないですか。台風や大雪の日なんかは、もしかしたら見る人が増えるかもしれないけど、それでも全社員が見るなんてありえないって、普通に考えればわかるでしょう。

20人しかアクセスしていないなら、そのデータを基に考えればいいだけの話。通常時の5倍でも10倍でもいいから仮定してくれればいいのに、思考停止で数万人全員なんて言うなよと。

ここまで書いてて気が付いたのですが、社長肝いりの案件に20人しかアクセスしていないことを説明できなかったのかもしれないですね。

そういえば、昨年(私が入社する前)に弊社社長の訓示動画を配信したら、グループ各社全社員のPCがメールもWebも使えなくなったらしくて、今年は「事前にサーバーを増強してくれ」と相談が来ました。期間2ヶ月。

クラウドじゃないので、おいそれとサーバーを増強できないんですよね。ベンダーとの契約もあるし、サーバーで動いてるソフトのライセンス契約だってある。

それを伝えたら、「わかりました。別の方法を検討します」って言われたので、多分私用スマホで見るように通達があるんだろうなぁ(遠い目

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よわよわインフラエンジニア
よわよわインフラエンジニア。川崎フロンターレが好き。推しメンは谷口彰悟選手。ChatGPT関連のオンラインイベント視聴中に「ほえー」「しゅげー」とぼやくのが平日夜の楽しみ。
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